南房総市立富山学園 Tomiyama Elementary and Junior High School

校内研修

研究計画の概要

1研究主題

「思考力・表現力を身につけた児童・生徒の育成」
~9年間をつなげる「学び合い」の授業づくりを通して~

2研究主題について

(1)学校教育目標から

本校では,学校教育目標を「豊かで逞しい心をもった子どもの育成~人間性を育む=『情操』・『意志』を育てる~」と掲げている。その柱となっている「確かな学力=知識・技能」「豊かな心=情操」「逞しい心=意志」は,切り離して考えるのでなく,一体のものとして育成を図っていく。すなわち,学力を進化させていく過程で「情操」と「意志」が生まれ,また,「情操」と「意志」により学力が進化していくと捉える。そこで,3つのプロジェクト(確かな学力・豊かな心・逞しい心)を機能させた教育活動を土台としながら,「学力」に焦点をあてて研究を深めていく。そしてそれは,15歳の旅立ちに向けて,「夢と志をもち,自分を見つめることのできる子ども」の育成につながるものと考える。

(2)小中一貫校4年目を迎えて・昨年度までの取組から

本校は,平成28年4月,小中一貫校としてのスタートを切った。研修は,A研修(授業づくり・学力向上に関わること)とB研修(小中一貫校づくりに関わること)の2本の柱を立てて進めてきた。
A研修では,それまでの小・中それぞれの研究主題を踏まえながらも,9年間の学びの連続性を意識し,研究主題を「思考力・表現力を身につけた児童・生徒の育成~9年間の発達段階に応じた学び合い活動を通して~」に設定した。富山小・富山中両校で検証してきた思考力・表現力の育成に焦点をあてた様々な手立ての有効性を小・中の職員で共有することは,9年間の学びの連続性を考える上で重要だと考え,発達段階や教科の特性に合わせた学び合い活動を学習の中に位置づけ,一人一実践の相互授業参観を実践してきた。その結果,教師一人一人が日々の授業実践の中で試行錯誤しながら,思考力・表現力育成のための授業づくりに努めることができた。更に,小・中学部の職員が互いに授業を参観し合うことにより,1学年から9学年の学びのつながりを共有することが可能となった。また,小学部のきめ細かな指導と中学部の専門的な指導のよさを間近で見ることにより,個々の授業改善にもつなげることができた。しかし,「思考力・表現力」「学び合い」についての理論研修と共通理解が十分ではなかったために,富山学園の「学び合い」の共通の具体的な取組が明確でなかったことが課題となった。
B研修では,「学力向上」「豊かな心」「逞しい心」の3つのプロジェクトチームによる,行事の意義・内容・進め方・参加学年などについての検討や,それぞれのプロジェクトごとの重点取組のプラン作成などを進めてきた。また,平成29年度には,新たに教育課程プロジェクトを立ち上げ,富山学園教育活動の具体的な計画の作成が進められた。
小中一貫校の立ち上げから3年目,幼保小中一貫校富山学園のスタートから2年目となった昨年度,安房地区教育委員会連絡協議会からの研究指定(平成30・31年度)を受けた。B研修では,それまでの諸計画を実践し,よりよい教育活動を目指し,A研修に重点を置いて研修を進めていくこととした。特に,課題となった富山学園の「学び合い」の共通の具体的な取組についての理解を深め,実践を積み重ねていく。一人の教師が複数教科を担当する小学部に対し,中学部では,専門教科を担当する。教科領域はそれぞれであっても,「学び合い」を一つの柱として9年間をつなげていくことによって,思考力や表現力を育んでいこうと考えた。そして,1時間または1単元の学習において「見通しをもつ」「『学び合い』=協働する」「ふりかえりをする」を意図的に位置づけた授業実践に取り組み,全職員が一人一実践の相互参観授業を行った。どの実践でも,「『学び合い』=協働する」では,ペアや少人数での意見交流の場を工夫し,その有効性とともに,意見交流が必然となるような課題設定をすることや,交流の前に個の考えをもたせることの大切さについて確認した。
今年度は,昨年度末人事異動により多くの職員の異動があった。あらためて,「富山学園の学び合い」について,一つ一つ共通理解しながら研究を進めている。また,小中一貫校だからこそできる授業づくりも並行して積み重ねていくこととする。

(3)新学習指導要領の方向性から

新学習指導要領の改訂では,「何ができるようになるか」「何を学ぶか」「どのように学ぶか」の方向性や「育成を目指す資質・能力」の3つの柱(学びを人生や社会に生かそうとする学びに向かう力・人間性の涵養,生きて働く知識・技能の習得,未知の状況にも対応できる思考力・判断力・表現力等の育成)が示された。そして,それらの実現のために「主体的・対話的で深い学び」の視点に立った授業改善が求められている。単に知識・技能の習得で終わらせるのでなく,理解していること・できることをどう使うか,つまり「思考力」や「表現力」を育成することが求められており,そのためには,他者と関わりながら学びを深める「学び合い」の授業づくりを工夫していく必要があると考える。

(4)児童生徒の実態から

本校の児童・生徒は,全体的に素直で落ちついた学習・生活態度である。市内一斉学力テストの結果では,すべての学年が「目標値」を超え,全国平均を超える学年・教科は半数以上である。しかし,小・中学部職員で行った校内研修(KJ法)では,「聞く気持ちは育っているものの内容を聞き取る力が不十分である」「多様な考えに広がりにくい」「指示されたことは一生懸命に取り組むが,積極的な行動が苦手」などの姿が課題としてあげられている。様々な情報のインプットから自分の考えをもち,積極的にアウトプットしていく力をつけたいと考える。

3研究目標

児童・生徒の思考力・表現力を育むために全員参加の「学び合い」の授業づくりを推進する。

<重点取組>

  • 1時間または1単元の学習において,「見通しをもつ」「『学び合い』=協働する」「ふりかえりをする」を意図的に位置づける。
  • 「協働する」では,「富山学園の学び合い」を取り入れる。
  • 「授業改善のためのセルフチェックシート」(南房総教育事務所発行)を活用するとともに、授業参観の視点とし、参観チェックシートとして活用する。

4研究の内容と方法

  • 思考力・表現力を育むための「学び合い」についての理論研修<1学期>
  • 南房総市一斉学力テストからの児童の実態把握と指導・支援の方法の検討<1学期>
  • 要請訪問・教科部会による授業づくり <1・2・3学期>
  • 日常的なワンポイント参観・ぶらり参観 <1・2・3学期>
  • 研究の成果と課題のまとめ・次年度の方向性検討<3学期>
公開研究会・・・11月22日(金)

研究推進委員会

校長・教頭(2)・教務(2)・研究主任(2)・小学部低中高ブロック代表・中学部各学年代表

プロジェクトチーム

確かな学力プロジェクト・豊かな心プロジェクト・逞しい心プロジェクト

各教科領域部会

国語・社会・算数数学・音楽・図工・保健体育・外国語英語・総合的な学習・特別支援