南房総市立富山学園 Tomiyama Elementary and Junior High School

校内研修

令和8年度 研究計画の概要

1 研究主題

「自分の思いや考えを表現する力の育成」 ~書く活動を通して~

2 研究主題について

(1)今日的な教育課題から

 近年の技術革新により、社会が急速に変化している。グローバル化が進み、世界のどこにいても誰とでもつながることのできる社会となっている。この先、人工知能のさらなる進歩により、日本の労働人口の約半数がなくなっていくと予測され、雇用の在り方や学校で知識を習得することの意味にも変化をもたらすと予測が示されている。一方、子どもたちは未曽有の災害や、未経験の感染症に対峙し、正解が見えない、環境の変化に対応しながら生きていくことも求められている。つまり、これから子どもたちが生きていく社会は、大人である私たちが経験したことのない前例のない社会になると考えられる。
 こうした未来を切り拓いていくために、新学習指導要領では、「子どもたちが様々な変化に向き合い、他者と協働して課題解決していくこと」の必要性が述べられている。そのためには、いつ、どのような状況においても、自ら学び、自ら考える力を育むこと、新しいことへ主体的・意欲的に取り組んでいく力が必要となっている。また、仲間と協働しその状況においての「最適解」を導き出していく力の育成が、学校教育において求められている。
 だからこそ、どんな時も自分の考えをもった上で伝え合い、考えを伝え交流し合いながら、さらに新たな考えを形成していけるような児童・生徒の育成を目指していくことが欠かせないと考えた。

(2)南房総市の取組から

 南房総市では、「0歳から18歳・保幼小中一貫教育の推進」「子どもが地域に誇りと強い思いをもち、自己の可能性を伸ばす特色ある教育の推進」を教育目標として掲げている。本校でも富山学園として、同じ敷地内で0歳から18歳までの幅広い年代の子どもたちが、共に学校生活を送っている。また、富山学として「地域を学ぶ、地域に学ぶ、地域が学ぶ」ことをとおして学び、故郷への誇りと強い思いを育んでいる。富山学園の児童・生徒は、海や山に囲まれ、自然の恩恵を受けながら生活できるこの「富山」が大好きである。ふるさと「富山」を誇りに思い、大切にしたいと感じている児童・生徒が多い。しかし、誇りに思うことを伝えるには、学んだことや自分の考えや思いを伝えることができる「表現力」を育成する必要がある。この表現力を育成することが、自己の可能性をさらに伸ばすことができるのではないかと考える。
 そこで、本校では、幼稚園・小学校・中学校が一体となって教育活動を進めるために、研究体制として、幼稚園・1・2年を第1ステージ、3・4・5年を第2ステージ、6・7年を第3ステージ、8・9年を第4ステージとして4つのブロックに分け、研究を進めていく。
まず自分の思いや考えを表現するための準備として、「書く」ことで自己の考えを整理し、自己の考えをもつことを目指す。そして、書いたことをもとに、相手に言葉を足しながらさらによりよく伝える活動を行っていく。こうした学びを積み重ねていくことで、生きる力と生涯にわたって学び続ける、意欲をもった学びの実現につながると考えた。

(3)これまでの研究の経緯

 本校では、今まで「自分の思いや考えを表現できる児童・生徒の育成」を主題として取り組んできた。副題として「対話のサイクルを通して」を掲げ、話すこと・聞くことの活動を重点的に推進してきた。各教科の授業で発達段階に応じて、相手の考えを受け止め、さらに自己の考えを加えながら相手へ伝え、よりよい意見となるような建設的な話し合いができるよう授業づくりを目指してきた。
 一方、話し合いの場面で、自己の考えを持てずに意見を言えないままやり過ごす児童・生徒もいた。自己の考えをもって話し合いに臨む児童・生徒を育成する必要がある。そこで、「書く」活動に重点を置き、自己の考えや思いを言語化し、整理し表現する力を身につけていきたい。

(4)富山学園の子供たちの実態

①児童・生徒の様子
 授業に加え、各種行事(6年生を送る会・予餞会、委員会発表、音楽発表会、富山学発表会等)を通して、児童・生徒は表現活動の機会を多く有し、その緊張感や達成感を経験してきた。一方で、対人関係の場面において、自らの思いや考えを適切に言語化して表出することができず、発言を控える傾向や、自己の行動やその理由を十分に説明できない児童・生徒の存在が確認される。これらのことから、「自己の思考内容を言語化・構造化」し「他者に伝達する力」の育成が課題であると考えられる。今後は、自らの思いや考えを言語及び文章として適切に表現できる児童・生徒の育成が求められる。
②学力の様子
ア 小学部
 言語に関する事項、A聞くこと・話すことにおいては県・全国平均に近いものの、B書くこと、C読むこと、さらに短答式や記述式において県・全国の平均を下回っている。文章を書く点において正答率が低い。日常の姿から、文章で考えを表現することができないだけでなく、あきらめてしまっている児童がいるのではないかと推察される。目的やテーマに沿って書くことや、文章の組み立ての指導が必要である。また、国語科として「書くことの指導」の指導はもとより、教育活動全体として書くことを意図的に設定していく必要である。
 多くの学年において、県平均を下回っている観点が多く、読むことにおいては学年差が大きい。また、書くについては6学年中4学年が県平均を下回っており、対策が急務であることがわかる。また、学びに向かう姿勢と学力が比例していることもあり、学校全体で学びに向かう姿勢を改善していく必要性がある。

イ 中学部
 「C読むこと」においては県・全国平均に近い水準にあるものの、「言語に関する事項」「A聞くこと・話すこと」、「B書くこと」において県・全国の平均を下回っている。これらの結果から、インプットに比してアウトプットに課題がある傾向がうかがえる。特に、言語の運用に関する力の育成が十分でなく、思考内容を言語的構築化する力に課題が認められる。
 今後は、「書く活動」の充実に加え、書くことにおける「構成力」の強化、段階的な指導(スモールステップ)および記述内容に対する適切なフィードバックを通した「改善サイクルの確立」により、生徒の書く力について総合的な向上を図る必要がある。

(5)研究目標

自分の思いや考えを表現するために、書く活動を通して表現力を高める

研究推進委員会

校長・教頭(2)・教務(2)・研究主任(2)・小学部低中高ブロック代表・中学部各学年代表